私はフランス語を話せませんでした
フランス語を「書けるのに話せない」ことで悩んでませんか?
これは英語をテーマにしている記事やブログでも、度々取り上げられる話題ですよね。何を隠そう、私は書けるのに話せない人でした。文法はほぼ完璧、スペルミスも少ない、ディクテの精度も上がっている…。にも関わらず、いざフランスに行ってみたら、脳のメモリを120%使ってるのに、言葉が出てこない。
書けるのに話せないってどういうこと?
話す経験が足りないだけ
書けるのに、話せないのは何か複雑な理由があるわけじゃないんですよ。
単純に「話す経験が足りない」だけです。
私が初めて他人とフランス語を話したのは、外国語学習サイト「italki」の言語交換でした。言語交換とは、学びたい外国語を母国語としている人たちとその言語を交換することです。例えば、私は日本人でフランス語やスペイン語を話したい。日本語を話したいフランス語圏やスペイン語圏の人がいたら、お互いの自分たちの国の言葉を教えあうのです。
その後、フランス語のレッスンを受けるようになってからも、先生に言ってることが通じないことがあったり、言いたいことが200%出来上がってないと口に出せないこともありました。一番ショックだったのは、何回もあくびをされてしまった時です。「そんなことで…」って思うかもしれませんが、スムーズに会話が進んでるのにあくびなんかしませんて。
会話の訓練を重ねて自信を持った私はフランスへ。そこでもう玉砕ですよ。話しかけたら、まずこんな顔されて…
締めはこんな感じですから。
心が砕け散るって例えがありますけど、本当に砕け散った音が聞こえましたね。苦い経験です。一応フランス人の名誉のために言っておきますが、こういう対応をしてきたのはごく一部の人たち。とはいえ、「言語は人を孤立させる」と思った瞬間でした。帰国後、「絶対フランス語ペラペラになってやる!」と誓った私は、それまでやっていた受け身な学習を止め、「話す・書く」のアウトプットを重点的に行うスタイルに切り替えました。
ここで1つ問題が。書くことは自分一人でいくらでもできますが、話すことは相手がいないとできませんよね。その練習もそうじゃないと出来ない…。そう思いがちです。でも、話す瞬発力をつける練習は相手がいなくても出来ます。
これから紹介する練習は、一人になれるスペースがあれば誰でも簡単にできるものです。時間は5分もあれば十分です。
簡単な練習「一人二役で会話」
フランス語を話せるようになるための簡単な練習とは、
「一人二役で会話」することです。
では、やってみましょう。いくつかテーマやシチュエーションを決めておくとやりやすいです。
例えば「時計(もしくは時間)」
というシチュエーションでいいでしょう。まず5分やってみてください。
基本的に辞書は使いません。不安になるのはわかりますが、逆に質問したいです。普段会話するときに辞書使いますか?使うことって相当レアですよね。辞書が必要なのは、自分の知識の範囲ではまかえないことを口に出そうとするときです。つまり、フランス語で言えないことは言わないのがこの練習の基本です。自分の中に蓄えた語彙を使って話すことに徹底してください。
この練習にまず必要なのは、
「その役になりきる!」
アニメのキャラクターや特撮ヒーローに夢中な子供が、セーラームーンやプリキュア、仮面ライダーの真似してなりきるのと同じです。こんな人いたら嫌だな〜と思いながら、その嫌な奴になりきってみたり、映画の登場人物の真似をしてみたり。ハマると結構面白いですよ!ここで手に入れた「なりきり力」は会話で絶対に役に立つので、恥ずかしがらずに思いっきりやってみてください。
2つ目のコツはジェスチャーを入れること。最初に「時計」のテーマで、「腕時計を忘れたので、駅で誰かに時間を聞いてみる」というシチュエーションを挙げました。このときに相手はどこを見ながら、時間を教えてくれると思いますか?腕時計?携帯電話?それとも構内にある時計を指差しながら教えてくれる?いずれにしろ、腕時計なら腕を見るし、携帯電話なら画面を見ながら答えますよね。俳優になったつもりで、パントマイムのような動きを入れたりして練習してみてください。
3つ目のコツは、ムリに早く話さないこと。下手なピンポンを心がけることです。これは下の記事で詳しく書いてるので、読んでみてください。

この練習を部屋の中、お風呂の中…、一人になれるスペースで5分やる。この方法のいいところは何といっても、
「失敗を誰にも見られない」
ところです。言葉に詰まっても、文法を間違えても大丈夫!これは日本人独特のものなんでしょうが、「失敗を許さない社会」「他人の失敗に厳しい文化」が育んでしまった弊害は、外国語学習の中では大きな壁になっています。フランス語をレベルアップするには「積極的に間違えること」です。言ってる途中「ああー冠詞を抜かしたー」とか「動詞の時制が違ったー」と思っても、止めない。恥ずかしさは捨てる。安心してください。誰も見てませんよ。
もう少し突っ込んだ練習ができるなら、練習してるところを録画してみてください。当然フランス語をしゃべってますから、発音や表現、表情など気になるところを分析すると、改善策が見つかります。
私は会話のテーマやシチュエーション探しに迷ったら、単語アプリで目をつぶり、適当に単語を選び、その中でシチュエーションを考えます。この方法だと得意・苦手な分野に偏りがなくなります。ネタに詰まったらやってみては?

この練習をしたら、どんな変化が起こる?
このエクササイズを毎日5分、まず2週間やってみてください。2週間やれたら、もう2週間やれます。そしたら1ヶ月です。続けた暁に自分にはどんな変化が起こったのかというと、
- フランス語を使って電話で会話できるようになった
- 友達との会話で間が短くなった
- DELFの口頭試験のうちの1つ、ロールプレイがスムーズに行えた
まとめると、相手の言葉に反応する瞬発力が鍛えられたことです。
この練習のゴールは「フランス語で話せるようになること」です。一人で練習し続けるだけで物足りなくなってきたら、DMM英会話(フランス人教師も在籍)やitalkiなどのオンラインの外国語学習サービスを使って実践しましょう。オンライン学習の良さは失敗してるところを誰にも見られないことです。練習と同じ流れで会話の練習ができるので、日本人に向いてるサービスです。
フランス語を話せるようになりたければ、完璧主義は捨てること
フランス語を「積極的に間違えること」がレベルアップにつながるとお話ししました。これを採点するとすれば、100点中60点以上の出来栄えでいいんです。得点を稼ぐことはもちろん大事ですが、紹介した練習も完璧主義者用ではないということです。ちょっと失敗したからって心が折れるようなら、そもそも外国語を学ぶのに向いていません。
それでもフランス語を話せるようになりたいなら、簡単な練習をとりあえずやってみること。練習を積み重ねることで、何ヶ月後には違う景色が見えてくるはずです。