時制の使い分けが難しいのは日本語と同じように考えるから
フランス語の時制って難しいですよね。日本語で考えると、なかなか覚えることができないと思います。この時制というのは立派な文法の一つです。
日本語対訳でフランス語を勉強してきた人には耳が痛いかもしれませんが、文法用語はフランス語で覚えるのが基本です。今回解説する時制一つにとっても、ただ文法を覚えるだけでなく、フランス語における時の捉え方を学ぶことでフランス人の時間の感覚を学ぶことができます。
今回は下の図解(なんとか自分で作りました…)を使います。テーマは「雨」。
~この図解の見方~
- 水色の丸のセクションは過去、ピンクの丸は現在/未来でざっくり分けています。
- フランス語と日本語の「時の考え方」は異なります。日本語では円環的に時間を捉えますが、フランス語の「時」の考え方は、過去から未来まで「時」を1本道のように考えます。なので、この図解はそのロジックにのっとり、過去〜未来を1本で繋げています。
基本の時制3つ
フランス語には様々な時制が存在しますが、今回は基本の3つの時制(Le présent, le passé composé, le futur)を上の図解を使いながら解説したいと思います。
※このブログでは文法用語はすべてフランス語のまま用いますので、あしからずご了承くださいませ。
Le présent
La pluie tombe (aujourd’hui, maintenant, tout de suite).
使い方1 今行われていること、習慣を表す
Le présentは現在起こっていることを表すほかに、習慣や日常的に繰り返し行われていることに使えます。例えば、あなたが毎朝6時ごろに起きるなら、下のような文章で表すことができます。
毎月映画館に行く習慣があるなら、le présentを使います。
Je vais au cinéma chaque mois.
使い方2 近いうちに確実に起こること、決まっていることを表す
近い将来に確実に起こること、決まっていること(受験、引っ越し、結婚、旅行など)に使えます。例えば、来年パリに引っ越すことが決まっている場合は、引っ越しというアクションが来年に起きても、言う時点で来年に引っ越すことが決まっているので、le futurではなくle présentを用います。
Être en train de + infinitif
「何かをしている途中で」を表すときは、être en train de + infinitifの構文が使えます。例えば、「空港に向かう途中だ」と言いたいときは下のような文章で表現できます。
公式はこんな感じです。
Sujet + verbe être+ en train de + infinitif
必ずverbe êtreを使います。それ以外の動詞は使えません。
Le passé composé
La pluie est tombée ce matin (mais elle n’est plus tombée maintenant).
使い方1 終わったことを表す
すでに終わったアクションを表します。図解の文でいえば、今朝雨が降っていて、もう止んでいるなら、le passé composéが使えます。
Le passé composéは完了した過去を表すとき、
- 会話
- 新聞やニュースなどのメディア
- 現在刊行されている小説や書籍
の中で使われます。
使い方2 過去のアクションが今の身体/心理状態にどんな影響があるかを表す
会話の中で過去のアクションが今の身体/心理状態にどんな影響があるかを表す時にも使えます。例えば、「日中働きづめで、今(帰宅後の夜とします)疲れている」と言いたいときは、
使い方3 L’imparfaitと併用して過去に起こっていた状況を表す
Le passé composéはl’imparfaitと併用して、過去に起こった状況とその状況の背景を表すことができます。例えば、自分が家を出た時に晴れていて、目の前を赤い車が通り過ぎて行った…というような背景に動きがある文章にしたいときは、le passé composé + l’imparfaitで表すことができます。
Le futur
La pluie tombera demain. (mais pas certain)
使い方1 予測/予定
図解の文、La pluie tombera demainのように予測されるアクションに対して使えます。天気予報士が「明日ブルターニュ地方は雨が降ります」と言っても、必ず雨が降るとは限りません。こんな感じで、le futurは予測できるけど確実ではないことを表す時に使えます。
Le futurは予定を表すときも使えます。予定はスケジュール通りとは限りませんよね。「〜にするつもり」と表現したいなら、le futurがぴったりです。例えば、「明日のうちにフランス語の勉強をするつもりだ」と言いたいなら、下のような文で表現できます。
使い方2 約束
フランスで確実じゃないことといえば、約束です(笑)。日本人は「約束は守るもの=確実に実行するもの」と考えるので、確実か確実でないかは時制においてそこまで重要でないと思います。でも、フランス語において約束はle futurという確実ではない未来という表現を用います。ここにフランス語の面白さがあると私は思います(笑)。
Cet agent me promet “j’arriverai à Bastille vers 15 heures demain.”
上の文ように、今日不動産屋と明日アパートの内見を約束して、彼が「明日の15時ごろにバスティーユに来ますので」と言ったとします。彼は明日15時ごろに来ると約束したけど、確実ではないので(遅れるかもしれない、事故に遭って来れなくなるかもしれない、もしかしたらドタキャンするかもしれない…)約束を表現するには、le futurを用いるというわけです。
まずはじっくり文法を身につける
文法が合ってないフランス語は通じません。早くフランス語を話したいなら、文法(+発音)を身につけることが先です。文法書を使って勉強しましょう。
私のおすすめはCLE Internationalの定番、Progressiveシリーズ(回答集は別売)。イラストが豊富で分かりやすいですよ。
今回はフランス語の時制の中から、基本の3つを紹介しました。下の記事ではl’imparfaitを解説していますので、翻訳しないでフランス語の時制が覚えられるように頑張りましょう!
