DELFは全てのレベルにおいて、 聴解(Compréhension de l’oral) 読解(Compréhension des écrits) 文書作成(Production écrite) 口頭表現(Production orale) のパートにテストが設けられています。作文(文書作成 Production écrite)と同様、時間に余裕がないときでも対策しやすいパートが、口頭表現(Production orale)です。今回はB1に受かるための口頭表現の対策を紹介。
DELF B1 口頭表現の試験内容
B1の口頭表現(Production orale 通称:P.O.)は3つのパートからなります。
- 自己紹介(Présentation)
- 試験官とのやり取り(Dialogue)
- 選んだテーマに対して世間の状況と受験者の見解を述べる(Monologue)
実は、文章表現と口頭表現の最後のパート「テーマに対して世間の状況と受験者の見解を述べる」は非常にリンクした内容です。 このテストは作文と同じように練習を重ねていけば、点を伸ばしやすいのです。
B1 口頭表現の採点で重視されること
B1で最重要視される
表現にバリエーションがあるか
はここでも適応されると思います。文章表現と同様に話すときも「コネクター」や「B1に必要な文法を使いながら説明しているか?」を気にしながら対策していくといいでしょう。P.E.とP.O.の対策はとてもよく似ています。書くか?話すか?の違いだけといってもいいくらいです。

逆にそこまで気にしなくてもいいこともあります。
こちらの記事でも触れましたが、このレベルの試験ではまだ
発音や訛り
を気にしなくていいということ。もちろん、口頭表現の時は発音やイントネーションは採点対象に入ります。でも、B2以上の試験のように発音に対してそこまで厳しくないということです。
制限時間内に全て言い切れるか
DELFのパートで、もっとも時間配分を気にしなくてはいけないのが口頭表現です。口頭試験の前は、各受験者が2つテーマを引いた後、準備時間が30分与えられます。ここで注意しなければいけないのが、引いたテーマどちらとも準備やメモを作成する必要はないということ。自分が「イケそう」と思ったテーマのみ、説明する順番やメモを用意することです。自分の言いたいこととメモさえ用意できれば、制限時間内(15分)に全部答えられると思います。反対にこの段階での準備を怠ると、本番で何も言えなくなる可能性が上がってしまいます。
口頭表現の対策と効果的な練習方法
自己紹介は台本を用意する
私が有効だと思った練習の一つがこちら。自己紹介は台本を用意すること。紙でもGoogleドキュメントでもWordでもいいので、自己紹介文を書きます。
自己紹介は録画して撮る。スマホでもPCでもOK!
自己紹介文を書き終えたら、それを台本がわりにして俳優がセリフを覚えるように何回も唱えて暗記します。多少セリフを飛ばしたりしても大丈夫!大事なのは、自分がどんな人間か試験官に紹介することです。 自己紹介文を覚えたら、次は喋るところを録画します。パソコンでもスマホでもOKです。画面を試験官に見立てて、喋ります。スマホで録画するときは、専用の3脚があると便利です。私はVAVAの3脚が好きで使ってますが、いい仕事してくれます。
録画したものは保存して、前にやったものと比べるといいです。自分の癖が掴めるので、おすすめです(私の場合だと、自分が思ってるほど口が開いてなかったことがわかったり、意外と相手の目を見て喋れていることに気づけました)。本番では、試験官から簡単な質問が飛んでくることがありますが、それも少し予想しておいて台本つくるといいです。
試験官とのやり取りはオンラインで対策が効果的
次のようなテーマを引いたとします。 あなたは、郵便局で両親に小包を送るために20分も待っています。しかし、あなたは急いでいます。このままだとこの後のフランス語の講義に遅刻してしまうからです。ところが、窓口の局員が後片付けをし始めています。つまり配達受付業務は終了ということです。なんとか小包を送るために局員を説得してください。 まずこの問題なんですが…なんともフランスらしいですよね。日本じゃあり得ないです。DELFはフランス語の試験ですから、日本だと考えられないようなテーマも出されるので、あえてこれを一例に選んでみました。 私はオンラインでDELF対策の時にこのテーマを練習で出されたんですが、惨敗でしたよ。「この小包を送らないと困る!」「まだお客がたくさん待っている一人だけ閉めるのはどういうことなんだ?」などと言っても、それは不満であって説得や交渉ではないのです。「私にもたくさん仕事がある」「子供の送り迎えもしなきゃいけない」「明日また来て」と言い返されて終わりでした。試験官とのやり取りの練習をするなら、一人では無理があります。フランス語を話せて、練習に付き合ってくれる友達を探すか、オンラインでプロに頼む方が確実です。 オンライン言語サービスのitalkiはDELF対策のレッスンをやってくれる先生がたくさんいます。ネットでレッスンを受けるメリットは、「失敗を誰にも見られないこと」です。ミスは「恥」という考えがまだまだ根強い日本だと、人に失敗を見られることでメンタルやられることもあるんですよね。itakiはマンツーマンで自分の好きな時間にレッスンが組めて、都度払いなので、DELFの時だけ利用することもOK。
モノローグにおける展開とは?
モノローグでは時事系のテーマが多いです。問題は新聞やニュースサイトから引用されることがほとんどなので、普段からニュースやラジオ、子供向けのニュースサイトを見て用語に慣れておくといいでしょう。

その中で例えば、次のようなテーマを引いたとします。
最近、在宅ワークも可能で、通勤時間を縮める、もしくは無くすことができる。あらゆる人が家で仕事できるスタイルである。あなたならどう思うか?在宅ワークは、あなたにもメリットがある勤務形態だと思うか?
一般的に考えられること、テーマに関する世間の状況を述べる
書き出しはテーマの概要(大まかな説明)、テーマに対する世間の状況を簡単に書いておくと喋り出しが楽です。作文同様、ここではあなたの考えではなく、世間ではこう考えられているという状況説明をします。 この二つが終わったら、
テーマのメリットとデメリットを挙げる
この場合は「在宅ワーク」なので、家で仕事するメリット・デメリットを簡潔にメモに書き留めます。以下はメモのサンプルです。Pourはメリット、Contreはデメリットのこと。この用語は便利なので、ぜひ覚えてくださいね。
1. 通勤時間によるストレスがなくなる
2. 外の状況(天候、ストライキ、病気の流行など)に仕事を左右されない
3….
Contre
1. 仕事でわからないことがあったらすぐに聞けない
2. ネット環境がないと仕事できない
3…
Pourとcontreに対する自分の意見を述べる
キーワードとメリット・デメリットの抜き出しが終わったら、それに対する自分の意見を追加します。下は一例です。
- 在宅ワークは一般的にメリットが多いが、プライベートと仕事の区別がつきにくい。
- 運動不足になりやすい=健康に悪い。
- …
準備時間はあまり長くないので、「キーワードの抜き出し」「メリット・デメリット」「どんな順番で話すか」を決めておけば、パニックにならず済みます。 「話す順序」に関しては、

で解説しています。
La conclusionで締める
口頭試験本番では下の流れでプレゼンしていきます。1~3まではメモを用意してあれば、しっかり伝えられるはず。
- 一般的に考えられること、テーマに関する世間の状況を述べる
- テーマのメリットとデメリットを挙げる
- Pourとcontreに対する自分の意見を述べる
そして最後、La conclusionで締めます。1~3のようにあまり意見を広げる必要はありません。La conclusionは結論を意味しますので、これがないとプレゼンが終わることが試験官に伝わりません。重要なパートなので、忘れずに。 ちなみにモノローグの時は、メモやテーマの紙は何回見てもOK。ただし、見ながら話すのは試験官に対する印象が悪いので、やめましょう。
参考書はDelf B1
自分一人でできることは専用の参考書を見ながら練習しましょう。 口頭表現に関しては青本と呼ばれるReussir Delf B1がおすすめです。こちらには自己紹介とDialogueのモデルがあるので、初めてB1を受ける人にもわかりやすいと思いますよ。
口頭表現は文章表現と少し似た部分があるテストなので、対策がセットでしやすいパートです。練習を重ねて精度を上げれば、点数も伸びるはず!
Bon courage et bonne chance! J’espère que vous réussirez le niveau B1!