日本語訛りを抜け出したい!なぜフランス語の発音は難しい?
日本人のフランス語学習者にとって、一番大変なパートは「発音」です。
この発音の習得を怠ると、まずリスニングがキツイです。文法をある程度わかってるはずなのに、何言ってるか全然わからない現象に陥ります。これも後々、日本人がハマりがちな「書けるけど、聞けない・話せない」になってしまうわけです。ネットのやりとりであれば、「チャットできるけど、通話は無理」みたいなことですね。
文法をやりつつ、多くの人が発音を学ぶと思いますが、なかなかネイティブのように話せるようになりません。私の体験として、日本人が発音下手な理由は2つあると思います。
日本語にはない音が多く存在する
ハンデその1ですね。猛烈なハンデです。言語というのは音で成り立っています。聞き慣れた音があるかないか、もしくは似通った音がその言語にあるかないかだけで、リスニング上達のスピードが変わってきます。
例えば非英語圏のフランス、スペイン、イタリア、ドイツと言ったヨーロッパの言語圏の人たちと、私たち日本人がヨーイ、ドンで一緒に英語の勉強をしたとします。文法の正確さは日本人も負けていませんが、リスニング、スピーキングの上達スピードはヨーロッパの言語圏の人たちの方が信じられないくらい早いんです。これは多くの言語間で、大して勉強してなくてもリスニングができるという言語がいくつか存在するからです(オランダ語など)。

日本人にとって「日本語には存在しない音」を身に付けることは、多くの時間を割かなければならないことを覚えておいた方がいいでしょう。
口周りの筋肉がない
ハンデ1と関係しますが、日本語は口周りの筋肉を大して使わなくてもしゃべれてしまう言語です。それと関係してか、日本人のおよそ80%はへの字口というデータもあるくらいです(私もそうでした…)。英語やフランス語の発音の練習を少しやってみるとわかりますが、翌日に鼻の両脇や口角が筋肉痛が襲うこともままあります。

特にフランス語の場合、onzeの õといった口の形をキープしたまま発音します。日本語では õのようなタコ口で発音する音はありません。なので、日本人のフランス語学習者は口周りの筋肉を積極的に鍛える必要があります。
正しい発音を身につける 発音を矯正する
正しい発音を身につけるには時間がかかります。書店で見かける外国語学習本の謳い文句のように3ヶ月でペラペラに!というのは、まずありえません。ある程度しゃべれるようになっても、発音の練習は定期的にすることをおすすめします。
標準アクセントで学ぶ(Les accents parisiens)
フランス語はフランス本国以外にベルギー、スイス、カナダのモントリオール、ニューカレドニアのようなフランスの海外県などで話されています。
私たちが発音を学ぶときは「標準アクセント」でフランス語を学びましょう。発音も同様で地元の人はこれをLes accents parisiensと呼びます。特に数の数え方が違います。ベルギー、スイスのフランス語圏では、70をsoixante-dixではなくseptanteと言います。80(quatre-vingt)は、octanteもしくはhuitante、90(quatre-vingt-dix)に至ってはnonante。こうした地域差があることを踏まえて、発音の練習は標準アクセントでするほうがいいと思います。
発音矯正するメリット
今まで発音の練習してきたけど、上達してる気が全然しない!なら、一旦その練習をやめて「発音矯正」をしてみましょう。
発音矯正するメリットは2つ。
リスニングが楽になる
発音体系を学ぶことで、発音記号と綴りの関係がわかるようになります。さらにイントネーションやアクセント、伝えたい感情に寄ってイントネーションが変化することや、家族や同僚、友達間など親しい間柄で話すとき使える発音の省略(あるんです、そういうのが…)などを学ぶことで、映画やテレビ、ラジオや街頭インタビューなどの聞き取りが楽になります。
知らない単語を聞いてもスペルが分かるようになる
これは主に書き取り(Dictée)で役に立ちます。先ほども書いた発音記号と綴りの関係がわかるようになると、知らない単語を聞いて書き取りした後、綴りが違うといったミスは大幅に減るようになります。
発音矯正する方法
発音を矯正する方法は主に3つ。
- 教科書を使って矯正
- ネイティブに発音チェックしてもらいながら練習
- 発音のクラスに通う
独学するなら100%FLEシリーズ
最初は「えっ!こんな分厚いのいつ終わるかわからない…から、やーめよ」と買わなかった私がバカでした。この2冊をじっくりやることで、リスニングが格段に良くなりました。映画好きとして嬉しかったのは、やっぱり俳優のセリフがよく聞こえるようになったことですね。ただでさえ最近のフランス映画のセリフって早いので…。
100%FLE Phonétique essentielle du français
この本はAとBにレベル分けされており、このA,BっていうのはおなじみDELFで用いられるレベルスケールのことですね。Aが初心者、Bが中級者と簡単に覚えてください。A1/A2はリスニングや発音に伸び悩む中級者の発音矯正にもおすすめです。何を隠そう、私はDELF B1取得後に、この本を使って発音矯正に励んだという(恥ずかしい)過去があります。自分の発音の下手さになかなか向き合えなかったんですけど、あとでご紹介するHiNativeでコテンパンにネイティブに発音の悪さを指摘され(正直に言ってくれるのでありがたいですが、日本人ユーザーと違って本当に彼らは容赦ないです)、「発音上手になりたい!!」と思った末に発音矯正することにしたわけなんです。
こちらはCD(付属してない場合はEditions DIDIER-100%FLE からダウンロード可能)がついています。練習する時は、テキストを読みながら自分の発音を録音して矯正していきます。口の形を確認するために、大きめ鏡を用意しておくといいです(卓上ミラーだとより楽です)。
HiNativeでネイティブに発音をチェックしてもらう
「自分の発音が合ってるか、自分じゃ判断がつかない」場合には、ネイティブに発音チェックしてもらいましょう。HiNativeなら、かなり早く(※投稿する時間帯にもよる)返事がもらえます。自分で合っていると思ってもネイティブからすると、不自然に聞こえることはよくあることです。こういう時に、発音のお手本をネイティブから教えてもらえるのはとても心強いですね。

発音専門のクラスに通う
独学でコツコツやるより、学校に通うスタイルの方が合ってる人は、フランス語教室の発音クラスに通うのがおすすめです。私はずっと独学でやっているので、オススメの学校は紹介できませんが、インターネットで「フランス語 発音 クラス」と検索するとたくさん出てきます。以前オンラインレッスンで発音専門クラス、ないしは発音指導が得意な先生を探したこともあるんですが、なかなかいないんですよね、これが。なので、ある程度レッスンにお金をかけてもいい、時間に余裕があるという人は対面式のクラスに通って矯正するのも一案ですよ。
いま発音が苦手な人、accents asiatiques(アジア人ぽい訛り)と言われがちな人でも、練習すれば必ず発音は良くなります。最初のうちは聞き返されることで心が折れる場面もあるでしょうが、そういうことも笑って思い出せる日が必ず来るので、諦めないで練習していきましょう!